日本刀の素振りをしつつ脳内を去来する過去を袈裟懸けに斬る

近辺に起こらぬことが不思議なほど殺人事件がかくも頻発 ほとんど何もやってないのにもうこの時間かと嘆くこと多い特にこの頃 （新仮名）

落ち着かぬ春の天気を恨む間に菜の花は疾うに河津桜は今

針先（はりさき）に宇宙観る禅の瞑想と極小粒子に宇宙観る現代科学と 極限の微視化は具象像を拒否すれど身辺のなべては確たる形持つ

原子核と電子のあひだの漠々たる大空間をいかに説くべき 驚くべし毎秒千キロの超高速　原子核を回る電子のスピードは 歯痒さは科学者にもあり摩訶不思議なクォークの世界を語る文字なく 無限小クオークらの振舞ひが無限大宇宙の機序を […]

紛うなく日差は春のものにして二月下旬の空気まばゆし

陽はあれど常より鈍き感じにて見上ぐればうすき薄き雲張る 集団的自衛などとは名ばかりで暗転してレミング現象を起こしかねない （新仮名）

秩序なく舞へる無尽の雪片ら意思あるごとくすり抜け合ふも

死後腐乱せざりし聖女ありしとふつまりミイラ化せしにあらずや 近隣にも即身成仏せしといふ僧侶のミイラが横蔵寺（よこくらじ）に在る

思惟はせぬ極微粒子の集積なる“脳”とふ組織が心作用なす 感情のあるべくもなき微粒子の集積なる身が泣き笑ひする