一読で解る短歌（うた）をばその故に蔑（なみ）する論は真髄の外（ほか）

‘現象’と‘象牙’に関連なけれども共に‘象’を持つ理由（わけ）は知らずも 万葉集に歌の重複多くして漢字表記の異なるは何故（なぜ）

いかほどの高さなるらん闇空を灯の点が航（ゆ）く　墜（お）ちるなよ努（ゆめ）！

旧暦でたまに閏九月があり今夜はそれの十三夜なり 珍しき＜後（のち）の十三夜＞を撮らんとし空覆ふ雲を恨めしと見る 空覆ふ雲の一部の破れより須臾の間覗きぬ＜後（のち）の十三夜＞ ややありて雲が大きく割れたれば＜後（のち）の十 […]

身のめぐりに幾つも時計の置きあれどみな進み勝ちことに心理は 生き急ぐとにはあらねど心内の時計このごろ進みを加速す

一面に咲けるコスモスが微風にもその名のごとく宇宙遊泳す

「かわせみ」を「翡翠」と書くこと今さらに杜甫の漢詩に見て安堵する 家持と杜甫が活躍せし時代の重なることは偶然ならずや

どうだらう犬猫などは人のごと鏡に映るを自分と知るや

ひと本の山茶花ちらほら花開く気温低下にするどく反応し 路地沿ひの廃屋の庭にこの秋も紫式部白式部の艶

望（もち）よりはややいびつなるがよろしけれ十三夜の月がきりりと昇る