雲の下を走る雲見ゆ冷えまさる地表の気流に乱れあるべし

人間に超能力はたしかに有る。たとへば楽器の超絶演奏など 暗算で十桁の掛け算瞬時になす人あり超能力の一つにあらずや

唐突に口衝き出づる唄いろいろ脳髄はいかに選曲なすや

とがる固き蕾を宙に立て辛夷はしづかに時を待ちをり

濃淡はあれど記憶にのみ残る人等いや増し脳よりこぼる

殺さねば消えぬがほどの憎しみとはいかなるものかと思ふことあり

先人の布石も組込みしコンピューター、プロ棋士に勝ちても不思議にあらず

いつ死ぬか解らぬものを死の準備など直前までは出来そうにない

“経済”は近代の語と覚えしに唐詩にも見て眉間を割らる

解き放たれ無念夢想に落ち入るとき奥入瀬渓流が脳底に鳴る