ダークマター、ダークエネルギーは理解の外（ほか）　既存理論への疑問は聞かれず

万葉の難読歌にはいくつもの読みあり ほかは大丈夫だらうか

この宵はにはかに涼風流れ入り虫の音しげく風鈴が和す ひとしきり鳴くはクツワムシこの数年聞き慣れし声また同じ場所にて クツワムシの声に唱和するカネタタキときをり風鈴が色を添へたり

内村ほかの華麗な演技に酔ひ痴れて“世界は平和”とふ錯覚に耽る 華やかなオリンピックの陰にしてシリアほかでは殺戮つづく

遠雷か遠花火なのか判然とせぬまま熱帯夜の深処に音聞く

黒々と雷雲襲ひ去りしあと常にもまして紅蓮（ぐれん）の夕焼 地を這ひて太鼓の打音がひびききて <七夕まつり> は熱しつつあり

この部屋まで <七夕まつり> の騒音が聞こえる　今だけだ、大いに騒げ

家裏の老人ホームの窓の灯は住人の心をぼんやり映す

純白の雲を羽毛の模様に刷き青空は暑さを忘れて静か

ごそごそと表面動く探査機にこそばゆしとぞ火星嘆きゐん 明星と親しむ金星の表層はテロらの憎悪のごとき地獄圏