天気図で南東に低気圧があるときはその方角の空を気にする
真っ直ぐに焼却場よりのぼりゆく仏の煙は重さ無ければ
削り節の薄片食みつつこれほどに鰹を虐ぐる残酷さ思ふ
オーロラに倣ふがに絹雲が空いっぱいにうねりて見る見る形変へゆく
しづしづと夜は更けゆきて樋落つる滴の音に降り初(そ)めし知る
銅色(あかがね)の朝焼け雲が水平に目線の高さで漂うて荘厳
どの国の誰もが「世界」を易々と口にす人間の進歩の証(あかし)に
札(さつ)刷り過ぎやがて貨幣価値下落、超インフレから大恐慌へ
生きてある限り心に滲(にじ)みくる汚れを洗ふ湧き清水あれ
戦争とは殺し合ひなりと知りつつもそれに傾く人の業(ごふ)あはれ