「熊蝉をゴリンバと呼びし少年期そのゴリンバが今朝も騒ぐも」
「「沁み出る」や「泌み入る」はミス、いつよりか混乱ありて散見すなり」
「三日月に金星寄り添ふ西空に祈らむことの多きこのごろ」
「赤味おび繊月西空(にし)に浮かびゐて空気よどめる熱帯夜けふも」
「小六の同窓会にて九十二歳(くじふに)の恩師の説諭 喜寿超えのわれらに」
「「抒情」と書き「叙事」と書き来ていつよりか「叙情」とも書くが「抒事」とは書かず」
「西山の向かうはまた山、さらに海 その先の空の果に思ひを馳す」
「サッカーで興ざめなのはペエナルティーキック、あまりに容易に点がはいるよ」
「万葉の時代にも草書はありにけりすなはち中国伝来の書体なり」
「絶滅せん動植物を護るごと消えゆく弱小の‘言語’も護れ」