「起き出でて歩道橋より見る 昇る日とそに焼かれゐる股下の車列」
「起き出でて四方(よも)見回せばあかあかと朝焼け空が市街覆へる」
「いつの年も異常気象はあるらしも歌集群の抜粋を読みつつ知れり」
「金色(こんじき)の光を放ち日が没(い)りゆく。「地球が自転してるんだ」と言ふは痴(をこ)なり」
「朱の色を際立たせつつ夕陽に輝る花水木の実の落つれば冬なり」
「学ぶべし 見えぬほど小さきクマムシの驚異の環境順応能力に」
「脳は無いが自然状態では不死というクラゲに学ぶ謙虚さが欲しい」
「永らくの曇天やうやく雲が割れ「海が拡がる」としばし観てをり」
「大空を紺青と白に二分(ふたわ)けの雲の縁(へり)真綿のごとくほつるる」
「ほろ酔ひの醒めつつやがて波なして襲ふ虚無感御し難かりき」