「令和」といふ墨書いづれも「令」の字の縦棒の処理に困つてをるなり
朝ごとに懐中時計のネジを捲くもとより頭のネジも捲くなり
鬼を追ふ夢のさ中にとどろきて脳の芯部を春暁雷打つ 桜早よ咲けとや暁闇を長々と走る雷鳴に驚き目覚む
桜木の開花宣言はじまりて紫陽花爆ずるごと新葉吹き出づ
『人はみな自分の辞書持ち生まれ来る』小耳に挟みしが妙に気になる
人間に魔性の宿ることあらば神性宿ることもあるべし
どうも」という言葉は万能 無意識に今日もどこでも「どうも」「どうも」と
昼と夜の気温差10度を超ゆる日は空の景色も人模様も不如意
在るべくもなき‘心’といふ形象を創りし人間の智慧を誇らむ
蒼穹の引っ掻き疵と見えたるは遠き空ゆくジェット機なりき