知らざりき 切株ゆ数本の杉育つ‘株杉’といふ奇怪な巨木

連用形の名詞化だから・・ 「笑い」「叫び」の「い」や「び」はわかるが「情け」に「け」が要る理由は分からない

ラヴェールの曲想の美は比類なし殊に <亡き王女のためのパバーヌ> などは

奇怪なる姿勢に立てる巨木群“株杉”の森に入り来て呆然 “株杉”の異様さに動揺したるやも妻がメガネを森になくしぬ

世界中で著名建築が相次いで被災する理由（わけ）を問ふも空しく

車にて瞬時によぎりし石蕗（つはぶき）の群れ咲く園の残像が今も

‘感慨’とか‘気概’とか言ふが「がい」の字が微妙に違ふ訳きみは知りゐむ ‘修行’とか‘修業’とか言ふが読みは似ても意味はまるで違ふ皆知るやうに ‘嗜好’とか‘趣向’とか言ふが似て非なるこれらに惑ふは‘をこ’のわざなれ

<コシ・ファン・トゥッテ> 「女はそんなもの」といふ浮気主題のモーツァルト・オペラ

廃屋の横に乱雑に繁茂して無数の実が輝る紫式部

終日（ひねもす）をたびたびサイレンが走りゆく凶事は続くものなのかとも