それぞれに過去の人生にじませて傘寿の輩（やから）の同窓会とぞ

夜の明けて西方の空に昨夜（よべ）東に見し満月が雲まとひ浮かぶ

電車より満月が見えて教ふれば相席の女（ひと）スマホ止め見る 旧暦の十七日なれど今宵の月 東に大きくまん丸に照る

知らずして妻と初めて初詣 美濃一ノ宮なる南宮大社に 初詣に南宮大社も大混雑 はなれきて仰ぎぬ朱の大鳥居を

似たるかな新年一般参賀とて皇居にひしめく群衆と初詣と

初詣の人らおほかたは無神論者されど溢れて道路にも並ぶ

元旦の日はたちまちに昇りきて高きビル、低き家、歩く人染む

進歩はあれ「医術は経験学かつ人間学」とふ根本はつひに揺らぐことなし

朝戸出に見据ゑて心胆冷えにけり雨に濡れ黒々と立つ裸木（はだかぎ）に

裏庭の常緑の木に集まれる雀らはいづれも寒さにふくらむ 冷えまさり“ふくら雀”ら木犀に寄り来る乏しき餌を求めて 寒ければ“ふくら雀”となりて寄るそれぞれ懸命に命を包み