胡蝶蘭、大輪の百合を妻が挿し玄関に濃密な芳香の満つ
さまざまに思ひはあれど自(し)が事に関はる限り小さしちひさし
‘コロナ禍’とはおそろしきかな日日(にちにち)の新聞さへもページ激減
遅遅として花水木咲かぬと見る日こそ身の裡深く疲れありけれ
着色がもし可能なら人々はコロナウイルスを避け得るものを
この歳でいかがかと思へど精神は「大死一番乾坤新たなり」
「時機を得る」を「時期を得る」とぞ新聞の社説にありて少々意外
散策時に撮るもの変はる 妻に似て路傍の極小の花多くなる
縄文人も食ふて排泄、恋もしき喜怒哀楽も今人(いまひと)と同じ
あざやかな薄紅色(うすべにいろ)にて迎へ呉れぬ山桜一樹われら夫婦(めをと)を