文字を書く手元一瞬かげりたり輸送機低空をよぎりしならむ

朝昼夕（あさひるゆふ）位置を変へつつ金木犀照り葉さまざまに日を砕き止まず

一心に聴く <カントリーロード> の終りしあと生（あ）るる寂寥にしばし浸れり

さかりなる花水木（みづき）全身の白炎（しろもえ）に心隈なく照らされてをり

<軍艦マーチ> 戦後もながくパチンコ店、運動会などで流れゐしかな 窓枠の隙（ひま）より花水木（みづき）の先端見え花たち真日（まび）に白くかがやく

ベランダに雀ら来たりてうろうろす口笛吹けばチチとぞ応ふ

白々と夜空に浮かぶ綿雲より現れし金星ギラギラと輝（て）る

隣接にて咲くも遅速のある花水木（みづき） 人間界もかくやと思ふ ガガーンと一発雷鳴とどろき身構へしにやがて豪雨が襲ひきたりぬ 歴史的仮名遣： 「あるいは」を「あるひは」と書く誤りを大隈言道も犯しゐるなり （大隈言道：幕末 […]

胡蝶蘭、大輪の百合を妻が挿し玄関に濃密な芳香の満つ

さまざまに思ひはあれど自（し）が事に関はる限り小さしちひさし