<時> は無限、<生命(いのち)> は有限 と知りながら <時> に挑みて飽かぬ愚かさ
五月晴れのありがたさほぼ無きままに梅雨入り間近の予報あるなり
同じ日に咲きし2本の花水木 今さ緑と深緑に立つ
晶子の歌「雛罌粟(こくりこ)」に見るごと短歌には「音(おん)」のみならず「字面」も大事
日本語の乱れを言ふが「づ」を「ず」に変へし国語学者らに罪はあらずや
西空に鋭く光りし夕星(ゆふづつ)の見えなくなりてもう一週間たつ
ドア開けて顔つき出せば雀らは庭木の茂みにばらばらと隠る
以前なら雑草として見過ごしし小花いくつも薔薇と同居す
ビル屋上ゆ朱色の帯なし雲の伸ぶ人の悲鳴の残響のごとく
ある作家の短編集読む どの編も過不足のなき短かさよろし