見しことなき細くて大いなる虹がたつ市や町いくつも優(いう)に跨ぎて
思へらく現代物理も素粒子の存在を前提 その起源語らず
脳底に顕ちくる叢林に吹き入りて枝葉そよがす それが音楽
ヴェトナム語・タイ語のニュースは理解不可「コロナ」とふ語だけはつきりと判る
ほつれゆく綿菓子のやうな流雲をカメラに追へば童心還る
民放の音楽番組楽しむに肝心なところでコマーシャル入る
宇宙開闢以来を思へば今ここに吾が在ることは究極の奇蹟
耳底(みみぞこ)に水残りゐる心地してただそれのみにひと日鬱鬱
ある歌詞に「跡形もなく崩れゆく愛のかたち」と。そを止揚せよ
今ごろは皆既月食が浮かびゐむと曇る夜空を恨むでもなく