書斎まで雀の羽一つ舞ひ込みぬ何事ならむ・・外は風巻く

雲の間にやや小型なる虹かかる常とは逆配色にて不可解なりき

つひにつひに虫の音はたと止み果てぬこの秋一番の冷えとふ朝に

現代の科学技術の粋ならむ月より‘地球の出’の鮮明写真 驚きつつ観たり月面より昇りくる青き地球のあまりの美貌

にはかにも冷ゆる朝にも雀らは元気に集（すだ）く この平凡よし

秋らしく冷えし朝（あした）は昨日まで多かりし虫の声も激減

滔々ととうとうと流るる‘時の川’溺れまいとて懸命に泳ぐ

人類もいづれは滅する思へればその旺（さか）んなる今に在る幸よ

やや心乾くにラベルの「亡き王女のためのパバーヌ」流れきて潤（うる）む

思へらく「般若心経」はこれまでに何億回と唱へられけむ 幾億回も「般若心経」は唱へらる。その尊さの嵩（かさ）ならねども