CO2吸収技術の開発より化学的活用にて即減らさばや
紅葉(もみぢ)映え人工滝ある公園は鴨あまた遊び妻よろこばす
天窓を瞬時によぎりし影のありカラスか鳩か自衛隊機か
若きころ折にふれ聴きしスメタナの「モルダウ」流れ意識は過去へ
ひたすらにシャッターきりぬ頭上なる電線に番(つが)ひの鵯(ひよ)鳴き交はして
表層は七割が海なれど‘水球’ならず‘地球’と呼ぶこと故なしとせず
秋の日の舂(うすづ)きしより急速に闇おそひきて鳥たち急ぐ
遠望する都心のビル群に想起する墓地の光景、塔は卒塔婆
眼の前にて媚びるがごとく舞ひ踊る演劇とふは悲しき芸なり
浮かびては消えてしまひし数々の短歌の断片、生の断片