つくづくと我ら時間に操らるそれは‘時’こそ神なればなり
忘れ得ぬシーンの一つ子ら襲ひしカラスを親ツバメが襲ひ地面へ落としき
春陽のかがやく庭に感嘆す“清浄明潔”とはよくぞ言ひたる
思ほへず東海林太郎(しやうじたろう)唱ふ <麦と兵隊> 流れきて悲し旧日本軍
見るからに枯れ木然たりし躑躅なれど緑葉吹きつぎ不思議のごとし
脳髄を絞りしぼれど出でこざる忘れ難かるかの旋律よ
ほとほとに野生を知りぬ餌やれど我をるかぎり集はぬ雀ら
おほぜいの短歌(うた)の集成には亡妻より亡夫を詠みしがはるかに多し
響きよき量子コンピュータとふ語の魔力が現実のものとなる日が待たるる
いつ何処で何が起ころうと坦々と進みゆく‘時’こそ普遍の神なれ