脳髄は‘われ’そのものなれど存在を知覚し得ざれば最高の神秘
奈良県がかくも深々と紀伊半島に食ひ入りゐるとはわれ知らざりき
酩酊のうちになしたる暗算の不思議に正しおぞましきかな
とどろきて我が脳髄を駆け巡る思想あり冷静に走らしめつつ
音もせで木々に新葉育ちゆく庭のありやうは春から夏へ
国道に信号待ちする車のなか女人が胸乳を抱くしぐさせり
浮かびては脳より消えゆく数々の短歌は惜しともはかなしとも思ふ
吾が妻の買ひためしリンゴの日々減るは当然なれどなぜか寂しき
生ゴミの袋を破りカラスらが食ひ物あさるあさましくもあはれ
恩寵の朝の陽を浴びプランターの花々悉皆いきいき輝く