自分が何故(なぜ)死なねばならぬか分らぬまま死にゆきし人も多しと思ふ
窓あければ二百メートル離れた公園から聞こえくる熊蝉の声が日々増す
鬼瓦にとまりスズメがさかんに鳴き遠くのゴリンバの声がそに和す (「ゴリンバ」=熊蝉)
葉が緑ゆゑに緑の花はなし と思ひゐしに或る本に緑の菊花が
小六で死にし友あり忘ら得ぬ。その後の世の事は知らずともよし
水は低きに、おカネは金利の高きに流ると納得するだけでは道は開けぬ
壮絶なる宇宙開闢以来のカオス想へば雀一羽の命さへ奇蹟
思へらく妻詠むことの少なきを空気のごとく吾を包むゆゑか
雀どちいかに悩むや口笛を吹きやれば一斉にチチチと応ふ
木曽・長良・揖斐三川が合流し脹らみ静かに海へと流る