流れ来る親しき曲の名を今にして「パッヘルベルのカノン」と知りぬ
ピアノ曲 <ラ・カンパネラ> 粛々と流れきてたちまち全身の筋肉ゆるぶ
からみ合ふ思考がたちまちほつれゆくショパンの曲が流れ来たりて
幾十年前の脳髄に湧き出でし名曲が現代人の心を癒やすも
静寂へ消え入りさうな曲ながれ無数の人影脳裏をよぎる
人間がオーケストレーションに目覚めし頃のクラシックにあらためて酔ひ痴れてをり
アメリカン・ミュージックは肌に合はざれど「カントリーロード」などは好きと言はむか
音響器機より‘モルダウ’流る工事音の隙間をたくみにするする縫ひて
シューベルトの <未完成> 聴きつつ思へるはもし完成しをれば感動減るか
『月光ソナタ』の「月光」は後の世の命名、ベートーベンはまつたく知らず