老ゆ
「柔らかく細くなりたる老ひ母(はは)の指 土の感触忘れゐしごと」(和)
93歳の母は、週二回のデイサービスの施設に通うのを楽しみに、健やかな日々を過ごしています。土と共に生きていたその頃の逞しい手はどこへやら、今はほっそりと白く柔らかい指、その手足の指の爪を切って帰ってきました。よろしくお願いいたします。
93歳のお母さん、土とともに生きて逞しかった手が「今はほっそりと白く柔らかい指」ですか。きっと、その逞しさは今は体の内部に、心の芯に、しっかりと染み付いていることでしょう。なお、口語の「老いる」は文語では「老ゆ」で、ヤ行の動詞ですので「老ひ」とはなりません。
添削:
「老い母のやはらにほそくなりし指は土の感触忘れしならむ」(和)