2019年10月1日 / 最終更新日時 : 2022年1月14日 gotohman 短歌を月毎に画像で見る 2019年9月の短歌 画像をクリック(タップ)すると自動で見ていただけます。画像右上のボタンで一時停止、再開、手動での更新ができます。 最悪の人道危機とふイエメンの地震(なゐ)・津波に怯ゆるわれら つくづくと人間は地表に張り付きて生くささやかな幸かな十日留守せしにやがて雀ら庭に戻り来群雲を裂きてひろげて光射し暗き人界に生気を惹起すあなどりて窓辺に坐しゐておどろかさる突然頭上で雷鳴とどろきふと気付くあるかなきかの風に鳴る日向の風鈴の幽かなる翳落暉つつむ雲の断片の周縁が黄金(わうごん)に燃えわれ衝迫すこまごまと物持つゆえの物忘れあれ忘れこれ忘れ妻の特技に歳のせい?否、本能の生命(いのち)への賛美と思へ涙もろきはを徹しカラスらが鳴くともすると我が外なるか裡なるかを知らず絶え間なく西より工事の音聞こえ現場は其方(そなた)と思へば東なり昼夜とほし一定リズムと音色(ねいろ)にて鳴く虫が居る あと幾日もつかキーン、キーン ガラスが蛇口に当迷ひなく音たてギンナン落ちつげりがつちり受け止むる大地あればこそ“おばあちゃん”たち運営の‘道の駅’に日本一大きな水車が回る裏庭の梢のシルエットそよぎゐてビルのした闇に虫の音しきり目を閉ぢて沈思黙考けんこんも三世(さんぜ)のことも在りて無きごと秋の夜に立つは虫の音のみならず野獣に紛ふカラスらの声音はせで尼寺の屋根を濡ら帯状の雲いく筋もならびゐて日の没(い)るにつれ順次焼けゆく日本人の好きな言葉は“夢”と“愛”、アメリカ人は“Hope”だそうな十六歳の少女の叫びがUNの議場にこだます「温暖化止めよ」とゴルフの渋野とスケートの紀平を間違髭は伸び爪も伸ぶるは生きてをる証なれども メンドクサイ!建物の間(あはひ)に秋の日は落ちゆく視野の狭さを克服すべし鳴き声を真似て猫と声競ひ「どちらが猫に近いか」と男涼しさに慣れ始めしころ何といふ意地悪天気か暑さが戻る