2021年9月1日 / 最終更新日時 : 2021年12月24日 gotohman 短歌を月毎に画像で見る 2021年8月の短歌 画像をクリック(タップ)すると自動で見ていただけます。画像右上のボタンで一時停止、再開、手動での更新ができます。 浅田真央と藤田真央ゐておもしろし女性スケーターと男性ピアニストなり深緑のあふるる中に白き糸 滝は一筋(ひとすぢ)にて自然を領す扇風機のまへ通るとき風感ず しばらく前より止まりてゐるにただ一つの受精卵よりあやまたず双子は同じ容貌と成る塀脇に雑草ならぬ白百合の生えきて今は蕾が六つ「塀脇のわずかな隙間に生(お)ひて咲き白百合六花の命かがやく」「雑草やアワダチソウまた白百合の命たくまし岩の割れ目に」ひたすらにクマゼミら鳴く音韻を朝朝あびて俗身洗ふ風の荒れ部屋の中まで飛ばされ来し蝉の亡骸(なきがら)なにがな不穏百合の花 命の尽きてバサリ落ち人の骸(むくろ)のごと横たはる朝朝のクマゼミの合唱ぴたりと止む今朝降る雨はむしろ冷やか大雨の降りつづくなか雀らも巣籠りに徹しひたすら我慢す長雨のふと小止みなる間を縫うてクマゼミ終(つひ)の声を絞れりカラス鳴くを皆は「カー」と言ふされど我「あー」とのみ聞くは耳あしきゆゑかブーゲンビリア薄べに花を並べしがはらりと一花散りて吾に寄る数株を妻が植ゑたる夏菫みるみる膨らみ今は押し合ふ地震の文字を地獄と読みて狼狽(うろた)へぬ強(あなが)ち誤読にあらずとのちに過去・現在・未来を三世(さんぜ)と二文字にて“時”わしづかみする仏語(ぶつご)の深遠朝に見る酔芙蓉おほかた白けれど酔ひ残るごと一部は赤し伸びやかにオオキンケイギクの数本が路傍に生ひ咲き親しかりけり般若心経走り書きして読めざれど文字たどるがに大声にて唱ふ花柄のワンピース一着部屋干しされ包まむ肉体を恋ふ風情なり「光岳」は「ひかりだけ」ならず「てかりだけ」と。その頂に白き巨岩ありて」朝朝に届く新聞折込みの広告紙ぼうだい 直ぐゴミ箱へ“ベト七”とはベートーヴェン第七交響曲、その重量感にはそぐはぬ略称排他的経済水域ふくむれば日本はむしろ広き国かや