2025年2月の短歌
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妻と来て庄内緑地で十月桜さらに臘梅のふくよかさを愛（め）づ
小さな鳥来たり急ぎカメラを向けしが逸しぬ
「人体」は「にんてい」と読み「人体（じんたい）」とか「人柄」あるいは「人品」を意味す
「人中」は「にんちゅう」と読めば鼻の下の溝のことをも意味しておもしろ
「盲目の・・」と言はるるを厭ふと辻井伸行、ピアニストとしての矜持のあれば
ふと思ふ‘時空四次元’とは言へ空間の部分を占め得ても時間はさにあらず
夕焼けの焼けざる西に真向かひてその背さびしく歩み去る人
電子装置に建国記念日の意味問ひしが「わかりません」とつたなき返答
「４４１」と電気時計が指すを見て思はず「２１の自乗だ」とつぶやく
日本には絵画・書道のほか極致なる伝統工芸あるを展覧会にて知る
このごろスズメら食欲旺盛と思ひきやおほかた野バトがエサを食ふらし
やや近き電線上にカラス居てカメラ向ければカ～と飛び去る
戦後とふ語の襞（ひだ）徐々にうすれゆきこのまま寧日（ねいじつ）の続くを願ふ
白雲のかけらがあまた散らばりて散開星団のごとく見えをり
「カラヤンやフルトベングラーなどの指揮による「運命」を聴くとふ贅沢にひたる」
「ベートーベンの第五交響曲に限りても演奏の指揮者による違ひに驚く」
サイレンを鳴らして走る車多しパトカーなのか救急車なのか
思ひ高め挑まんとする難問に五色の虹のかかりて解けず
あるときは空に浮かべる雲塊（うんかい）が重量感もちて頭上に迫りき
雛段を幾種も飾る神社ありて妻の少女心に従ひ訪ぬ
風強く窓の隙間が唸るなり去りゆく冬の断末魔と聞く
ある記憶を辿りゐたるに深々と眠りたらしも 煉獄の夢
広島の被爆樹木の中にして梧桐（あをぎり）もありと知りて悼めり
