2005年12月1日
- 2005.12.01
落ち葉ゴミ淀む川より青鷺の突如飛び立ち闇に三声 擦過音に驚き仰げば青鷺がゆうらり大翼をうねらせ闇へ
落ち葉ゴミ淀む川より青鷺の突如飛び立ち闇に三声 擦過音に驚き仰げば青鷺がゆうらり大翼をうねらせ闇へ
雨ひとときしぶきをりしが散策に家出づるころ火星かがやく かの月が今夜は火星に添はずして暗き楕円の欠落感浮く 街中をつらぬく川に水なくて桜落ち葉が底に溜まれる
義経の書状に「我国神国也(わがくにはしんこくなり)」と。被爆少女も臨終(いまは)に言ひき
旅急ぐ白雲うすく弦の月おほひては虹を架くるたまゆら 金閣寺の庭をながめてブッシュ氏がポツリと言へり「ここは平和だ」 ‘孤独’の語もすり切れちまった人も見ん楕円の月に寄り添ふ火星
動物の進化の終わりが猿ならば地球はいつでも平和だろうに (口語) 街中に出火のありてその跡地くらぐらと燃え闇の淵なる 路地裏に車つらなる午後十時塾とふものの退け時にして
去年今年いな年ごとにベランダの一所に来鳴くクツワムシ愛し この日頃聞き親しみしにハタと絶えぬ クツワムシの音(ね)の形の静寂 繰り返し直筆で読む《たけくらべ》はかなき余韻の終章が好きで 街路樹を網で覆へり群がり来る雀のねぐらかくて奪はる 樹のねぐら網で塞がれ幾百の雀ら電線にずらりと並ぶ 樹を追はれ電線に眠る雀らの列の下行く人々の影 ハリケーンに三百万人追ひたてられ北へと向かふ車列延々 酔ふほどに今 […]
人間の浅ましき本性極まれり被災地ニューオリンズに略奪相継ぐ 近過去のはや茫々と立ち返る姫路も道後も別府の街も 白鷺の連理の比翼はばたけり姫路の城は時空を超えて 闇深く女人のすすり泣く声すもはら人間(じんかん)の情理を怨み はらわたを揺り動かしてかの調べ陰々とひびき埒も無かりし 大型の台風ゆらゆら海を這ひ不測不明がゆゑの厳しさ 易々と人の命の霧消してイラク北米アフガンを悼む 人の世の行く末暗示するや […]
吾子二人いち早く吾より去りゆきぬ父・子の絆の薄さ示して 汗匂ふ童が膝に来て愛し息子らを斯く抱きしことなく 子供らはスキンシップを求むるに息子ら胸に抱きし記憶なし 孫抱きて息子らしきりに想はるる雷雨来たりて闇駆け巡る ハイビスカスぽかりぱかりと咲かせたる大衆食堂の這入り親しも
欲なくば戦はあらじ欲なくば生もまたなし 生即戦?
街燈の脇の木立に鳴く蝉の夜ごと衰へゆく嗄れ声 うつくしくはかなき夢を見たりけり原子爆弾水素爆弾