衰え
- 2009.06.16
大輪の紅薔薇がはや嬌艶の果のけだるさ見せてうつむく 群れ咲ける白百合の中に時すぎてややうつむくあり肌も鈍色(にびいろ) 寺庭に白と紅とにかがやきゐし夾竹桃の花もおとろふ
大輪の紅薔薇がはや嬌艶の果のけだるさ見せてうつむく 群れ咲ける白百合の中に時すぎてややうつむくあり肌も鈍色(にびいろ) 寺庭に白と紅とにかがやきゐし夾竹桃の花もおとろふ
千年も生きて何する」って? 生きたなら世界は平和か破滅かが分かる
餌(ゑ)に寄りくる幾多の雀の中に一羽絶えずぴーぴーと鳴くありて愛(は)し 父母(ちちはは)亡く長兄も逝き次兄また身罷りて三日、奇跡を乞ひしに 絶滅は種(しゅ)の宿命なり人といふ種(しゅ)は例外と誰も思はぬ
闇に描く螢の光跡撮らむとしストロボ使ふやうな愚多し
梅雨近く紫陽花は色深めゆく青葉に毒をもつ気配消し 冤罪にて獄中生活十七年けふ釈放の人の思ひは
北鮮の核実験と各国の反応に感ず空気のゼリー化 自由主義なるを誇りの米国が民間企業を国有化せり ハモといふ魚は鋭き歯を持つゆゑ「食む」が訛りてかくは呼ばると 「ネタ」は「種(たね)」の逆読みにして普及せりされど微妙にニュアンス違ふ 「チクる」といふ俗語の「チク」は口(くち)が元 逆読みにして「チク」になししと 「ガサ入れ」の「ガサ」は「探す」が元なのか逆読みすれば「ガサ」とはなるが 「あたらし」は「 […]
子雀は羽根地にこすりねだりをりパン屑つひばむ母に寄りつつ 身の丈は違はぬわが子に口移しに餌(ゑ)を遣る雀 母なればこそ
海賊が一つの職となり果てしソマリアとふ国 世界はどうする? 稲ならず麻薬生産で食ひ繋ぐタリバーンといふ狂信の人ら 前大統領の自殺を報ずるテレビまた新聞見つつアスパラかじる 自殺するほどの苦悩の在る世には緑あふるる季節もあるなり 国のこと世界のことを憂ひつつ味噌汁すすり豆腐食みゐる
雀らが子育てをする軒先に猫出没す 民はどうなる 濃緑の葉陰にひそと柿の花ひらきて穏し 国もかくあれ
広がりゆく飛行機雲の真ん中を新たに細く伸びゆくもあり 現代は人生百年時代とぞされど生くるは<今>とふ瞬間 <今>といふこの瞬間の消ゆることすなはち<死>なりと知りて迷はず