山茶花一輪
- 2019.02.15
葉の間(あひ)ゆ覗く山茶花一輪の紅のやさしさ 母をこそ想へ
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
葉の間(あひ)ゆ覗く山茶花一輪の紅のやさしさ 母をこそ想へ
張りつむる雲の下方を黒雲が毛髪のごと乱れて流る
西に座し朝日迎ふる伊吹山その雪肌をべに色に焼かる
「メタセコイア、裸木なりしが天を突くさ緑淡き円錐となる」 「枯れ枝に並ぶ雨滴が道の灯に無数の灯ともす 無辜の泪を」
「間近なる裸木の伸ばす無数の枝 落暉(らっき)に黒々と輝きゐたり」 「夜の園に白々と灯に照らされて糸杉は鋭(と)く星空を射す」 「外灯にメタコイアはしらじらと円錐形に裸を晒す」 立花るつさんへ: 「夫婦といふ愛の形はあいまいで愛が夫婦の形を作る」
「稲田なほ青けれどはや垂れ初めし穂ぞひしめける作柄は良」 「なほ緑き稲田ただ中首のみを見せて白鷺二羽こなた向く」
「大賀蓮その華麗なる優雅さは弥生時代の息吹(いぶき)秘めもつ」 「清楚なる蓮のおほ華つつめるはなほ幾千年を生きむ種子なり」 「蓮の葉にのる雨露が風に振れ雲裂いて射す夏の日はじく」 (1951年に大賀博士が当時の東大農場の2000年以上前(弥生時代)の青泥底層の中からその実を発見。翌年、それからの開花に成功。以降、全国各地に種子が分配され、大賀蓮池が作られた。あおぎりの住まいから比較的近い岐阜県羽島 […]
「てっせんにくれなゐのバラ寄り添うて街の路傍に群がり咲ける」 「紅白の薔薇が濃紫のてっせんと相寄り添うて恋は進行形」 「夜も昼もなほゆっくりと咲(ひら)きゆくアマリリスいま苦悶なすなり」
「青深む飛騨の山々中春の思ひを籠めてうち靡きたり」 「山の背の波打つさまのさまざまに地平を縁取る見つつ飽かずも」 「前を行くバンの背中に暈かむる日が映りゐて 今夜は雨かな?」 「思ふこと単純ならず君もまた君の形に思ひ悩むか」 「思ひをり、過ぎし日深く悩みしこと顧るときなべて瑣事なる」
「白藤も紫藤もたわわなる房を垂れつつ匂ひてゐたり」 「藤の花かくも豊かに薫りつつ棚下歩む人らを慰撫す」 「牡丹花垣根を成して盛んなり朱の球形の宇宙幾多ぞ」 「ほの白きピンクの隣に闇と見え深紅の華の牡丹しづまる」 「咲き長(た)くる牡丹また藤おし包む楓若葉のみどり目に沁む」 「灯を浴ぶる花水木一樹大いなる白炎として真闇に浮かぶ」