社会詠

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今日の歌 

  • 2003.08.22

「フランスに熱射で五千の高齢者死ぬころ日本は冷夏に喘ぎぬ」 「中東にまた殺戮が始まりぬ似而非(えせ)休戦が憎悪増幅」 -------- 「ミンミンを闇に聞きしが朝明けにツクツクホウシ秋の音(ね)をあぐ」 「熊蝉のはたと絶えしは今朝のこと一転狂へる音(ね)に法師蝉」

今日の2首

  • 2003.08.15

「人皆の固唾を呑みて聴き入りし玉音放送が出回る世なり」 (その録音がテレビやラジオのドラマでさかんに使われ、またCDにして売られるという。) 「鴨家族子鴨らにはかに成長し芥の池に鬼ごっこをす」

今日の歌

  • 2003.08.06

「しゅわしゅわと蝉鳴く中を広島の原爆忌今日もしづかに暮れて」 「いつしかも外界は闇 炎昼の名残をとどめミンミン蝉鳴く」 「生きてゐる限り世の中激動す無常といふさへなまぬるきほど」

戦争と平和

  • 2003.08.05

「観念にとどまる《平和》は具体性もつ《戦争》に所詮かなはぬ」 「《平和》という概念にいかなる具体性持たせられるかが問題である」 「戦争と平和はつまり動と静 また表・裏にして不可分なるか」 「動と静、悪と善、また醜と美など二律背反にして倶に在るもの」 「相矛盾する戦争と平和とを弁証法的に止揚せむ智慧」

今日の歌

  • 2003.07.30

「梅雨の雲抉(こ)じ開けのぞく夕空の紺の深みに金魚泳げり」 これは心象風景というもので、自分の心の中だけでしょうが、たしかに金魚の泳ぐのが見えたのです。文字通りの金魚、つまり金色の魚が泳いでいました。久し振りに見る紺青深い空に心が感応して、きらきらの魚を泳がせたのに違いありません。もちろん、多少の遊び心もあります。 「ひとしきり落ちし雨去り緞帳を引き上げしごと満天の星」 「梅雨明けをことほぐやうに […]

今日の歌

  • 2003.07.11

「高速道くぐれば向かひに朧月 このまま月へ旅立たんかも」 「いささ酒に酩酊にある我なるや雨の奥処(おくど)に赤子泣く聞く」 「殺人の心理を今宵思ひゐてだうにも理解のゆかずめろめろ」 「竜巻に吸はれて雲の上にまで人を哀しみ飛んで見せばや」 「万を超す人を易々殺戮せしブッシュを今宵しきりにあはれむ」

今日の歌

  • 2003.07.07

「七夕とふ語に籠めらるる子らの夢くさぐさにして大人の打算」 「しとどに降る雨の粒粒見ゆるまでわが心眼を研ぎ澄まさむとす」 「森の思想得て文明を批判せる宮沢賢治の童話を愛す」 「人間の智恵の累積たる文明 はや爛熟の気配あやふき」 「さめざめとくだる雨なりその下で大人の小児が悪戯してゐる」

今日の一首

  • 2003.07.04

「雨の夜は自動車(くるま)の中をCDのピアノソナタで飾りてぞ行く」 (これは昨夜のことを詠ったものです)

今日の歌 

  • 2003.06.30

「6月ももうおしまいと溜息を衝くがとくだん焦燥はない」 「紫陽花があぢさゐ公園に蔓延し五十がほどの異種の華あふる」 「万を超すアジサイ一斉に花ひらき豪華絢爛に衰へむとす」 「くさぐさのアジサイの中に紅色の<アリラン>の名を忘れ得ずをり」 「三ヶ根山スカイラインは両側をアジサイで飾り自動車(くるま)を慰撫す」 「一つ死が大事件なる今の世にフィリピン戦死者の数を言はうか」 「やすやすと記すものかな日本 […]

今日の歌

  • 2003.06.22

「家々のびっしり詰る街の朝も意外に多し鳴く鳥類ら」 「大玉の去年の華よ我が家では紫陽花今年は矮小化せり」 「君を詠まん昂(たかぶ)りの中テレビでは石油利権争奪戦の話」

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