終のクマゼミ
- 2021.08.15
長雨のふと小止みなる間を縫うてクマゼミ終(つひ)の声を絞れり
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
長雨のふと小止みなる間を縫うてクマゼミ終(つひ)の声を絞れり
大雨の降りつづくなか雀らも巣籠りに徹しひたすら我慢す
朝朝のクマゼミの合唱ぴたりと止む今朝降る雨はむしろ冷やか
百合の花 命の尽きてバサリ落ち人の骸(むくろ)のごと横たはる
風の荒れ部屋の中まで飛ばされ来し蝉の亡骸(なきがら)なにがな不穏
ひたすらにクマゼミら鳴く音韻を朝朝あびて俗身洗ふ
塀脇のわずかな隙間に生(お)ひて咲き白百合六花の命かがやく 雑草やアワダチソウまた白百合の命たくまし岩の割れ目に
塀脇に雑草ならぬ白百合の生えきて今は蕾が六つ
ただ一つの受精卵よりあやまたず双子は同じ容貌と成る
扇風機のまへ通るとき風感ず しばらく前より止まりてゐるに