自然詠

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今日の五首

  • 2002.04.13

「メタセコイア全貌たちまちさ緑にて下方に満開の海棠と和す」 「通勤路の両脇かざり花水木白またピンクの泡模様ながす」 「道かざる花水木また海棠に曼陀羅寺なる藤の花恋ふ」 「季節追ふ花の世界のいろどりの千変万化は苦悩に似たる」 「チューリップはらりと落ちしはイチローが長打を放ちし頃かと思ふ」

今日の二首

  • 2002.04.04

「季(とき)知りて芽吹き初めけむメタセコイア見上げれば空にみどりの星々」 「うち並ぶメタセコイアら芽吹き初むひと本ごとに遅速を見せて」

今日の五首

  • 2002.04.02

「両岸をうづめし桜満開にてヘッドライトで下部より照らす」 「あふれ咲く桜並木は下(しも)明かく上層部ほど闇に呑まるる」 「闇の夜を車で行くにびっしり咲く桜の枝が婆娑羅と襲ふ」 「一部はや若葉となれどなほ散れる桜はなびら気流をしめす」 「毅然として一本で立つ桜あり花と葉叢と素裸の四季」

今日の六首

  • 2002.04.01

「山肌にはりつくやうにカタクリが群生せりけり足助(あすけ)の春は」 「時季すでに過ぎたる中に初々しきカタクリ幾もと凛と反りかへる」 「山上に椿咲くのか一面のカタクリの花へ落ちし血の痕(あと)」 「妻とわれ飯盛山を山頂まで登り来て岩に立てばおもしろ」 「香嵐渓ながれ下れる春水の響きにひたりコーヒーすする」 「つくづくと照葉樹林の国なりけりそそぐ春陽に森は照り映え」

今日の三首

  • 2002.03.26

「寒戻り黄砂も晴れて山緑(あを)し 奧にかがやく雪の山脈」 「左には伊吹の雪嶺、木曽山脈右方に雪の御嶽山聳(た)つ」 「昨日見し畳(たたな)づく山、青垣も雪嶺も今日は霞に幻影」

今日の三首

  • 2002.03.22

「あはあはと飛騨の山波かすめるは黄砂現象か 大陸近し」 「旋風がアジア大陸の黄土をば捲き上げひたに押す日本(にっぽん)へ」 「暖冬に野草ら狂ひしのみならず上野の桜はや満開とぞ」

今日の二首

  • 2002.03.21

「春彼岸くもりてかすむ街の上さかんに小鳥ら離合集散す」 「つね通ふ桜並木の入りぎはにニ輪開花し魂(たま)灯(とも)すなり」

今日の二首

  • 2002.03.19

「多忙とは自ら創るものにして御(ぎょ)せざる頭は春の霞さ」 「タンポポも菜の花、土筆も生き急ぎ河縁(かわべり)占める早春賛歌」

今日の三首

  • 2002.03.17

東京出張の途路に・・・往路、復路とも、薄曇りの中にあわあわとした富士の雪嶺を見ることができました。富士山は見るたびに新しい姿となって現れます。歌に詠み飽きない理由です。 往路:「背後(そがひ)また此方(こなた)の雲にはさまれて富士の雪嶺きびしくも淡し」 復路:「山越えて白き富士聳(た)ち中腹に大沢崩れの跡痛々し」 「雲薄く張る大空の中ほどに雪かづく富士あはくただよふ」(梧桐) (「かづく」は「被く […]

今日の三首

  • 2002.03.13

「迷ひなく真上に伸びてはだか木のメタセコイアら青空およぐ」 「紺青の夜空に並び枝張れるメタセコイアら灯を受け浮遊す」 「鏡面の天文ドームが底(そこひ)なき闇を映して黒々と立つ」