辛夷の花、ほか
- 2010.03.16
クロマグロの乱獲は悪と思へども禁輸は食文化の差違の無視では? ぴらぴらと多(さは)なる白のさやぎをり辛夷並木の中の一樹に 廃絶を言ひつつ「この世に在る限り<核>は捨てぬ」とは欺瞞の極み
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
クロマグロの乱獲は悪と思へども禁輸は食文化の差違の無視では? ぴらぴらと多(さは)なる白のさやぎをり辛夷並木の中の一樹に 廃絶を言ひつつ「この世に在る限り<核>は捨てぬ」とは欺瞞の極み
三月の寒の戻りにゆさぶられ空の彼方に桜がふぶく
路地脇に群れ咲く水仙の小花らをけふの心の蛍火とせむ 久し振りに妻と歩むに風はまだ冬のものなり 日向を選ぶ わが二階のベランダに咲く水仙の黄のひと花に深く安らぐ
河川敷の灌木林に迷ひ入りつくつくぼふしの声に聞き入る 木曽川の河川敷なる灌木林すきまを縫ひて彼岸花朱(あか)し
ゆらりと立つ向日葵ありてその花の太陽(ひ)にそっぽ向くは何事ならん 南京櫨剪定さて現れし鵯(ひよ)の巣に親鳥(おや)が餌を咥へ来る
物陰に時計草ひそと咲く色はまれなるピンク 時刻を飾る 桔梗花冴えし紫ならべたり白きも二、三ありてさやけし 年収が30万円未満なる貧者が世界で40億人 アメリカでは1パーセントの人たちが富の2割を抱え込むとぞ 駅の窓あかあかと染むる落日を背に群集の影がうごめく 常なれど何ごとであれ詠み尽くすこと叶はずして歯がゆさ残る
大いなるアメリカ芙蓉の赤き花風に波打ち世界を煽る
ゆらり立つカンナは花びら黄に澄みて花芯ふかくに緋の水を溜む
空梅雨(からつゆ)に紫陽花やや褪せ今日よりは一転の雨とめどなく降れ 干涸らびし無量の人心さまよへる地球を裹み雨は降り頻く
時間軸と空間軸の接点に現世(うつしよ)はあり逸るる能はず 歩かずもすらりと立ちて百合の花 紅白黄(べにしろきい)にひびき合ひをり