植物

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紫陽花ほか

  • 2010.06.14

雲は夜意外に白くあざやかにてビルに触れんほど間近に浮かぶ 徐々に雲西より迫り果は闇 反基地闘争の火薬の匂ひす 横たはる鴉の骸を指さすに人言ふ「やつらはどんどん死ね」と 遅れ梅雨に色褪せてゐし紫陽花のやうやく雨を浴びてかがやく アルストロメリアとその名はゆかしくていつしか巷に花あふれたる

はなびら

  • 2010.04.09

そよ風に、無風のときさへためらはず花ちり急ぐ日向日陰に 散りかかるはなびらの中を歩みゆく後ろ姿は妻にぞありける 散りて舞ひ舞ひては渦まく花片(はなびら)のひとつひとつが描く疑問符 死の灰もかく降りたりけん無尽数(むじんず)のはなびら空を乱れて流る 散りやまずはなびらに乗りはなびらがかたまりて堰く昏き川面を

桜と基地

  • 2010.03.31

初花より一週間にて満開と聞くに二分咲き 花冷え長引く 初花より一週間にて満開と聞くに二分咲き 花冷え長引く ちらほらと咲く並木路を妻と行くに鳥のしわざか五弁花ちりぼふ 基地はもう要らぬとあっさり言えばよい。苦悩に顔がゆがむ首相らよ

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