ハナミズキ
- 2012.04.26
しっとりと春雨に濡れハナミズキ艶(えん)に透けつつしらじらと咲く
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
しっとりと春雨に濡れハナミズキ艶(えん)に透けつつしらじらと咲く
さながらに白き魂ただよへり夕光(ゆふかげ)の中に咲く花水木 眼下(まなした)に広がり咲ける花水木街灯のもとほの赤く照る
咲き満つる花水木にいま午後の陽の当たりてまばゆし憂鬱なまでに 雀用の餌を啄む雉鳩に小さきも居て春の子鳩か
世にひとつの樹種とも言へる中将姫誓願桜を拝(をろが)み写す 花びらは三十弁とも。中将姫誓願桜は繊細清楚 ---------- 門前のハナミズキはや咲き始むほかはせいぜい稚拙に蕾むに 咲き始め白緑模様が漂ひて花水木の樹体を厚く取り巻く
遠見にてピンクを刷ける一画に近付けばうれし河津桜なり わが街の138タワーを見上げつつ東京スカイツリーの高さを量る かくほどに無数の悲劇を繰り返す生命(いのち)を造りし神の罪おもふ 一斉は一斎ならず斎場は斉場ならず 斉と斎の話
政治経済かかはりのなき酩酊にこみ上ぐるこの虚しさは何 時折は腹の底より絶叫せん心身にもよしと思ふばかりで 雪かぶり萎れてゐしが黄水仙融くるがほどに張りが出できぬ
天降(あも)りくる光の園に紅白の芙蓉満つれど国は傾く 妻と来て公園めぐるに楠の大樹をかこみ曼珠沙華赤し バジル摘むもよろしと管理の小父(をぢ)さんに言はれてその晩家に香の満つ
列島を覆ふ空気を一日で夏から秋へ変へし台風よ 急速に空気が夏より秋に変はり布団も替へて重く寝苦し ————————————– 浄めんと彼岸の施餓鬼法要に来し寺庭に彼岸花あかし 墓地に並ぶお地蔵さまらの頬濡らす涙の意味をたれか思はん
むんむんと花の香こもる花屋にてスターフラワーの綺羅星に触る —————————– 風のうつ拍動に従(つ)き雨の膜街灯の辺(へ)に白くはためく なにゆゑに大災害のつづくやと日本列島うらみ節満つ
見渡せばいちめん水色深き空台風去りし翌早朝に