今日の一首(3月14日)
- 2009.03.14
飼い犬は飼い主に似ると言うけれど犬と散歩の婦人に頷く (新仮名)
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
飼い犬は飼い主に似ると言うけれど犬と散歩の婦人に頷く (新仮名)
ビル陰に冬の暗さが残るのみ二月は実にあっけなく逝く
ベランダに出でて思はず語り掛く月なき夜空に浮かぶ孤雲に
白梅の大樹が花の盛りにて目白ら鵯(ひよ)ら雀ら乱舞す 田園を横切る高速道路の下、さらに向かふに伊吹山(いぶき)が吹雪く
枯枝に林檎いくつも刺されゐてメジロらつつく目を回しつつ 孫たちが去りて残しし縫ひぐるみ肩寄せ合ひて壁に並べる
然(さ)る家の庭を彩る花花にまじれり赤き塵取りの縁(へり) <エルサレム賞>の受賞講演で<ガザ殺戮>を強く非難す村上春樹は
駅裏に出でて仰げばビルの間に冬空こほる藍青色(らんせいしょく)に ビルの間にわづかに覗く冬空の深き紺青の奥の暗黒 冬晴れの穹に真向かひ思考止むこの藍色の果(はて)の先は何? ——————- 今朝もまた餌場にきたれる雀らの特徴ある声に安堵しつい笑む
紅白の梅を渡りて飛び交へる雀らの声がきんきんと響く 紅梅に群がりゐるは雀のみ もしやと観れど目白は居らず 鵯の一羽飛び来しが紅梅に群がり騒ぐ雀見て去る
咲き初めし白梅の幹に生(む)す苔や「老いて学べば死しても朽ちず」
歩みつつツクツクボウシの声聞けば裡なる宇宙もたちまち秋めく 木曽川は分岐するとき白々と泡立ち一つは急流となる 朝(あした)より夕づく刻まで雲ひとつなく晴れわたり秋の河朱(あか)し 遊歩道に未知なる花々咲きをればデジカメに撮る妻がしきりに 木陰道歩みて平和を味はふに頭上間近を自衛隊機過ぐ