景色・風景

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今日の三首

  • 2003.01.10

「一月の空凝視(みつ)むれば青(あを)の奧蒼(さう)ありさらに奧に紺ある」 「かくほどに澄める蒼空ありしかと網なす樹木の枝透きて見つ」 「冷ゆる日はメタセコイアの裸木(はだかぎ)が錐(きり)となり空の氷海を突く」

今日の三首

  • 2002.12.22

「構内の池を住処(すみか)のアヒルたち丸々太り野良猫の的(まと)」 「アヒルらが列なし泳ぐ水皺(みづじわ)にメタセコイアの裸形(らぎゃう)ゆらめく」 「波立てる池の面(おもて)の照り翳り遠きアフガン思ひてゐたり」(梧桐)

今日の六首

  • 2002.12.15

夕べの富士– 「ゆらゆらと薄暮の空に漂へる雪嶺富士の青きたましひ」 真昼の富士– 「ま青なる冬空に聳(た)ち雪嶺のまばゆき富士山首に雲巻く」 —————————– 「熱しつつ論重ぬるに青年に六十路(むそぢ)が勝るを喜ぶべきや」 「経験も未熟な内の幸運に賞に […]

今日の3首

  • 2002.12.11

「八日間留守にせし間に構内のメタセコイアらみな落葉す」 「近山を斑(まだら)に雪の覆へればなほ山々が迫りてぞ見ゆ」 「初雪のまだらに覆へる山々の皮膚細やかな立体感あり」

今日の四首

  • 2002.11.19

「秋の空かがやきゐたる東天に雲を染めつつ満月浮かぶ」 「満月がゆらめき歪んで見えるのは僕の五感が軟弱なゆえ」 -------------------- 「その郷(さと)が安全神話の日本なれば娘(こ)は上海でカバン盗られき」 「中国と日本を取り持つ縁(えにし)とぞ言挙げすれど普通のカップル」

今日の五首

  • 2002.11.16

「構内にひときは明るき紅葉を逆光で撮る友のありけり」 「赤銅(しゃくどう)に変はりし水木の傍辺(かたへ)にて山茶花一輪二輪と咲(ひら)く」 「列なせるメタセコイアは同樹齢されど紅葉緑葉混淆」 「通勤路、構内ともに銀杏樹は緑葉まじれど落ち葉こんじき」 「呆と見る曇りて暗き紅葉につと日の射せば彩(いろ)の眩暈」

娘の結婚ほか

  • 2002.11.13

「脅威的発展つづく中国の国土は確かな踏みごたへあり」 「女ひとり異国に恋を育みて今日廈門市(あもいし)で結ばれにけり」 「娘(こ)の夫(つま)は劉を姓とし石材を商ふ青年実業家なり」 「美しき若き女性がウェディングドレスにさらに輝くばかり」 「中国の男を夫(つま)とししなやかに寄り添ひ微塵も不安を見せぬ」 「寄り添うて愛を振り撒く様見れば不安のしこり徐々に融けゆく」 「劉君の母は民族衣装着て華奢(き […]

今日の三首

  • 2002.11.07

「低空を飛ぶジェット機の轟音はとても脳内知覚と思へぬ」 「ジェット機の青空つん裂く爆音は音と言ふより物塊である」 「刈り取られ喪失感濃き田園に柿の畑が赤さ増しつつ」

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