夜のカラス
- 2019.09.12
夜を徹しカラスらが鳴くともすると我が外なるか裡なるかを知らず
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
夜を徹しカラスらが鳴くともすると我が外なるか裡なるかを知らず
落暉つつむ雲の断片の周縁が黄金(わうごん)に燃えわれ衝迫す
地震(なゐ)・津波に怯ゆるわれら つくづくと人間は地表に張り付きて生く
人も山も分解しゆけば極微粒子(ごくみりふし)の集まりと視ゆる眼力持たん
人間に魔性の宿ることあらば神性宿ることもあるべし
緑葉の影に己が影かさね行く人々にも絶望あるか
とどろきて気を裂き稲妻奔りゆけ地も天も割れ新宇宙生(あ)れよ
つづまりは一人を生き抜くといふ点で王もわれらも変はらざるなり
寒と暑は耐へ得るなれど飢えは不可。まして心の飢えと渇きは
「鬱あれば満月を宇宙の穴と詠む 皓皓として無数の夢の死」