飛行機雲ほか
- 2009.05.15
広がりゆく飛行機雲の真ん中を新たに細く伸びゆくもあり 現代は人生百年時代とぞされど生くるは<今>とふ瞬間 <今>といふこの瞬間の消ゆることすなはち<死>なりと知りて迷はず
梧桐学が日々詠んだ歌の収納庫です。
広がりゆく飛行機雲の真ん中を新たに細く伸びゆくもあり 現代は人生百年時代とぞされど生くるは<今>とふ瞬間 <今>といふこの瞬間の消ゆることすなはち<死>なりと知りて迷はず
ヴェランダに放置状態の菖蒲なり年々花の数増して愛(は)し 五月晴れの蒼空邃しその果に華の三千世界を蔵して 核軍縮→核廃絶は理想論などとの戯言(たはごと)がそれを阻害す
三日月に地球照(ちきうせう)見ゆ月面より地球に月照見ゆるや否や
放射状に西より発して東(ひんがし)の一点に収まる筋雲(すぢくも)を見き
ビルの上(へ)にするどく反れる月出でて伊達政宗の兜を想ふ
駅裏に出でて仰げばビルの間に冬空こほる藍青色(らんせいしょく)に ビルの間にわづかに覗く冬空の深き紺青の奥の暗黒 冬晴れの穹に真向かひ思考止むこの藍色の果(はて)の先は何? ——————- 今朝もまた餌場にきたれる雀らの特徴ある声に安堵しつい笑む
青空はただに明るしその先に闇の宇宙の在るを思はず
寒風に雲の変幻見飽かざる雲は天才と言ひし人はや
遠街に雨落としをらん幕のごと地に向け垂るる暗雲の縁(へり) 厚らかなる雲うごきつつ上縁のかがやき初めて日の覗き来つ
稲田いまあをあをとして清々し葉に隠れつつ穂は育ちをり 交叉するわが影ふたつ手と手取る道の両側に灯のあるところ -------------—– あやにくの曇り空とぞ久々の皆既月食見むと思ひしに 予報信じ曇れる空と思ひゐき見上ぐればすでに部分月食