今日の8首

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「空白く春の雨撒き 梅林の白き花には細雨が似合ふ」

「奇数番交響曲の間(あひ)に置くベートーヴェンの静の面よし」

「交響曲第四番に意外なるベートーヴェンの幽邃(いうすい)がある」

「いつしかも外は暗闇しゅわしゅわと音とも言へぬ微音満ちたり」

「前照灯やうやく届く闇のなか猫か二つの目が光り過(よ)ぐ」

「雨のあと夜空低くを奔る雲しらじらとして繊月隠す」

「ビルの間(ま)に誰(た)が忘れけんブーメラン型三日月は殊に親しく」

「繊細に鋭く曲がる三日月に何を託して人は逝きしや」