漢字とひらがなの使い分け

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視覚的にも美しい漢字

  「秋雨のまゝに暮れ行く庭隅に     しゅうめい菊のひともと明し」(幸乃さん2001年10月18日) 白花の秋明菊が群れて咲いているあたりだけ ぼうっと ほのかに明るくみえます。 「秋明菊」と漢字にしますと 「明」の字がふたつになるのでひらがなにしてみました ”白花の秋明菊が群れて咲いているあたりだけぼうっとほのかに明るく・・・”と添え書きにあり、歌では「ひともと」(一本)となっていますね。た […]

やわらかさを出す

「一夏を咲き続けゐし百日紅秋空のもと青き実結ぶ」(すみえさん2001年9月28日) 庭に白色のさるすべりがほんとうに百日咲くように、ずっと咲いていました。歌を作るようになるまでは無頓着で、恥じいるばかりですが、一夏中咲いていることも気がつきませんでした。ただの写生ですが、自分が感動した事でしたので詠みました。 ははは。ただの写生ですか。単なる状況報告歌と活きた写生歌は違いますね。写生歌の場合、感動 […]

表意文字としての漢字の特性

「やはらかきひかりさしこめる窓辺にて検水管を透かしつつ見る」(幸乃さん2001年9月17日) 「検水管」はあまり一般には使わない語ですね。水を使う装置などで、水量や水の状態を目で見て検査・調査するために付けられた透明なガラス管ですね。それを秋の柔らかい日差しに透かして見ているのですね。幸乃さんの仕事の一端がうかがえそうです。「さし込む」は「射し込む」とも,「差し込む」とも書きます。前の方が一層強い […]

固さ柔らかさ

炎天や他に音なき蝉時雨人目も草も静まり返りて(桐子さん2001年8月5日) 「他に」は、一読で「たに」と読まれないように、「ほかに」とひらがなが良いですね。また「人目も・・静まりかえりて」はちょっと変です。人目を気にする、人目を憚る、などと言いますが、やはり音ではなく「目」が主体ですから。「他に音なき・・・静まりかえりて」も言葉が重複しています。短歌は字数が限られていますから、こうした無駄は極力避 […]

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