3.作歌の基本

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歌の焦点

「『ソーラン!』の掛け声高く踊る孫の運動会に世情忘るる」 (すみえさん2001/10/20) この歌、気分は出ていますね。「運動会に世情」を忘れる、とするよりも、運動会で孫が踊っている姿を見て世情を忘れる、とした方がお孫さんに焦点が合っていいですよ。 添削・改作: 「運動会?掛け声『ソーラン!』響かせて踊る孫らに世情忘るる」 (すみえ)

推敲の仕方

「涼やかに語る尼僧の影ゆれて み堂に漏れ来る光 幾すじ」 (かすみさん2001年7月31日) またまたいい視点ですね。これは前後を逆にした方がいいでしょう。 添削 「光・風 み堂に差しきて涼やかに語る尼僧の影ゆれにけり」 (かすみ) 風を入れることで影の揺れが理解され、前後を入れかえることで尼の影が絞られてきました。尼の影と、光の射し具合の二つを主張したのが無理でした。 ありがとうございました。

推敲の仕方

 「雨上がり しずかなる朝 迎えおり 花つゆ含み 葉はみどり濃く」 (あゆ子さん2001年7月23日) 空梅雨で心配していたときで、恵みの雨になりました。 これでもいいですが、添え書きのように空梅雨で恵みの雨だということを入れたいところです。そうすると後半が一段と生きてくるので。 添削・改作 「空梅雨を嘆くに慈雨がしばし降り花の朝露もろ葉のみどり」 (あゆ子) (もろ葉=諸葉;いろいろな樹木の葉)

推敲の仕方

 「池の面に淡きピンクの蓮の花ポンと音たて開く花びら」 (栗太朗さん2001年7月21日) 毎日30度を遥かに超える猛暑が続いています、半ズボンとランニングシャツで頑張つています、こんなとき私の近くに蓮池が有りそこで蓮の花のポンと音立てて花の開くのを木陰から時たま渡つて来る風に涼しさを求めながら、その瞬間を見るのも又た一風の味があります。 「の」が重なり過ぎですか風景詠は難しいです、まだまだ私には […]

推敲の仕方

「梅雨月夜ピアスを片方落としたの見つかるはずなのもう少しいて」 (nanamiさん2001年7月13日) ピアスとあるから、若い女性ですね。添削には最小限の情報が必要でしてね、若いかご年配かくらいは知らないと。(最近は青年男子もよくピアスをしていますね。しかし、歌の感じからは明らかに女性。) この歌、ピアスをうっかり落としたので、デートの相手を待たせて、月明かりを頼りに探している、という情景ですね […]

推敲の仕方

「報われぬ道と知りつつ歩みゆくや老女の姿吾に重なる」 (山口須美さん2001年7月13日) この歌,状況が分かりませんね。つまり,老女が歩いている目的がはっきりしません。ですから,何がどう報われないのか不明ですね。したがって,最後の心情表白も生きてこないのです.歌に盛り込むべき最低限のものがあるわけです。その点に注意して,もう一度詠み直してください。 50歳の半ばになり、日々老うることの怖さと老後 […]

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