3.作歌の基本

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効いていない言葉

「ひろらなる水仙卿に人の波やわらかな香り春の日に映ゆ」(千草) 先日淡路島の灘黒岩水仙卿に行ってきました、海に面した斜面に500万本の野生の水仙を観賞して参りまして、その情景を詠ませて戴きました。宜しくご教授下さいますよう御願い申し上げます。 「卿」は「郷」のミスですね。淡路島の灘黒岩水仙郷には水仙が500万本も、しかも野生で、観られるのですか。すごいですね。ただ、お作で「やわらかな香り春の日に映 […]

言葉の順序

「夕映えの空をそびらに黒々と裸木の梢は繊細なりし」(アン) 細やかな枝が夕焼け空に浮き立って美しいなあと思います。 これは午後ウオーキングしているとよく見掛ける風景ですね。「黒々と」と「繊細」という写生が離れているのが気になるし惜しいですね。 添削: 「夕映えの空をそびらに黒々と繊細にして裸木の梢」(アン)

お作は説明的?

「折々の喜怒哀楽を凝縮し三十一文字で思いを詠う」(ポエム) 日記代わりに短歌を詠うようになり、細々続けて来て、言葉を選び、リズム良く、簡単明瞭で素直な気持ちを、と思えば思うほど難しいと思う反面、その楽しさがわかりかけて来たように感じます。 歌を詠む楽しさが分かりかけてきたと言われる。日記代わりに詠むという意識から、作歌は日記代わりにもなる(日記代わりになるのは副次的な効用)、という意識になられた? […]

区切れ

「秀吉にゆかりの深き黒金糯雄の老樹なり秋空に伸ぶ」(広) 秀吉が朝鮮に勢力を伸ばすため当地まで出かけた際に同人から授かったクロガネモチだそうです。老樹ながら今も立派で県指定の文化材です。これまで添削を受け,4句切れがいいかなと思い字余りながら作りました。 十六世紀の末の方になって政治的最高権力者になった秀吉は、気宇壮大な領土拡張構想を練り上げていたようですね。国境というものが今ほど明確ではなかった […]

作歌の姿勢や手法

「咲き誇りしむくげ衰え蕭条と茶室に雨の降る音を聴く」(宋見) 今日の茶花を考えて、夏の茶花「むくげ」がひとまわり小さくなり衰えを感じ、さてどう活けようかと茶室の外の秋雨の音を聴きながら考えております。いつも親切なご指導有難う御座います。 私の歌は感情移入が過多で修飾が多すぎるのかな、もっと冷徹な眼で現実を見つめ余計なものを削ぎ切った真実を伝えなければいい歌は詠めないのだろうかなどとかんがえこんでお […]

感動を素直に

いつも添削をありがとうございます。何度かしていただいて 気が付いたのですが みて感じたこと 感動したことを 素直にそのまま表すのが(今のところでは)いいのですね。そうやってみました。朝早く出かけようと思ったら門のところにくもの巣がはられていて朝方の雨にぬれたんでしょうか、光っていました。 「朝早く光の中にぬれた糸 ゆらゆら揺れる蜘蛛の仕事場」 (月の兎 2006/07/10) そうですね「感動した […]

客観視出来るよう、ちょっと歌から離れて

「朝露を少し置きたる野の花ら摘みきて挿せばネコジャラシが揺る」(祥子2006/07/05) <前作> 「朝露を少し置きたる野の花の摘みきて挿せばネコジャラシは揺る」(祥子2006/07/05) 添削: 「朝露を少し置きたるネコジャラシ野道で摘みきて挿せば花穂揺る」 (祥子) 一握りの、名も知らぬ野の花たちを摘んで来ました。花瓶に挿すと、その中で、特に背の高いネコジャラシだけが、その穂先 […]

歌の焦点

「花白き林檎の枝に腕たかく伸ばす農婦に夕光(ゆふかげ)さしぬ」 (真理子さん2003/02/25)  歌ですが、ご自分では気に入っている情景とのことですが、林檎の白い花に一つの焦点があり、農婦が腕を高く伸ばす姿勢につい読者の視点が行き、もう一つの焦点となっています。さらに、その農婦の腕に夕光が差しているという、これも注意をひく光景で、つまり焦点が3つあるのですね。たった31シラブルの中で3つの主題 […]

歌の焦点

「職はなれこたつにはまり歌詠むに冬の日の出の光まばゆき」(詩男さん2003/01/22) お宅から海が見えるのですね。しかも東の海で、朝日が見られる。いいですねー。(そうか、神戸あたりならあり得ますね。)「まばゆき」か「まばゆし」かですが、どちらも使います。前者は連体形止めで(「まばゆき光」の転置形)、やや余韻を残す形。後者は終止形止めで、一応言い切る形ですね。結局語感の問題でしょう。  歌ですが […]

推敲の仕方

「隣家より届けられたるブロッコリーは緑(あお)鮮やかに茹であがりたり」 (すみえさん2001年12月12日) 前三句がいま一つですが、後ニ句はいいですね。「茹であがりたり」と言い切って、感動を伝えることに成功しています。 添削 「隣家より頂きもののブロッコリー 緑(あを)鮮やかに茹であがりたり」 (すみえ)

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