理屈っぽくならないように(単なる説明で終わらないように)

2/2ページ

理屈っぽくならないように

「散りてなお役目果たさんさくら花黒き舗道を仄かに染める」 ( はるかさん2003/04/11) この時期によく見掛ける光景ですね。散った桜の花びらは意外なところにまで飛んでいくようです。 歌ですが、「散りてなお役目果たさん」といった表現は理屈っぽいとして短歌ではなるべく避けます。 改作: 「ほの明かく黒き路面を染むるかな散りてののちも桜は桜」( はるか) (「散りてののちも」の「の」は語調を整える […]

理屈っぽくならないように

「あれやこれ 忘れた妻の ひとりごと 雪ふりやまず 共にハミング」 (豊子さん2003/04/07) 「うつろなる 婆の手をとる おさな子に 風さそいてか 桜舞ちる」(豊子さん2003/04/07) 短歌は俳句に比べれば余程約束事の少ない短詩形です。五七五七七という定型が基本ですが、字余り字足らずも効果があるときや、気にならないときなどには使います。文語旧仮名遣ひでも口語新仮名使いでもいいですが、 […]

理屈っぽくならないように

「花見るひと 見られしを知らず 内見る人 花の声にも気づく」 (マキさん2003/04/07) 人が花を見る時自分も花に見られている事には気づかない。自身を内観する人は花の声にも気づく。というような事を詠みたいのですが、まとまりません。何とかパシッと決められないでしょうか? 初めから随分複雑な内容を詠もうと挑戦されますね。哲学的ですらあります。末が楽しみです。ただ、理屈っぽいことは歌になり難いです […]

理屈っぽくならないように

「鼻かんだ後に必ず両袖で鼻ぬぐうから吾子の鼻黒し」(里穂さん2003/03/28) 歌ですが、鼻をかむと鼻が赤くなりますが、両袖で鼻を拭うと鼻が黒くなるのでしょうか?袖にインクか何かがついているのですか?あるいは、土遊びで汚れている?解説を・・・里穂さんの歌にはときどきこのような謎めいた語句があります。一つの魅力かもしれませんね。 すみません。いつも一人で納得しちゃっているんですね。悪い癖です。直 […]

理屈っぽくならないように

「萩寺と言へども今は境内に椿や梅がはなやかに咲く」 (渓水さん2003/03/12) 出張で日本に来られた折の作品とはいえ、最近ご投稿の短歌を拝見していますと、とてもカナダに住んでおられるとは思えません。心は日本ですね。  歌の中の仲間とは、案外カナダの人なのでしょうね。「萩寺と言へども今は」という言い方は会話や散文ならいいですが、短歌では説明的あるいは理屈っぽいと思われそうです。むつかしいところ […]

理屈っぽくならないように

「氾濫を起こせしエルベ、ブルタバ川思い新たに『モルダウ』を聞く」 (了子さん2003/03/10) 去年の8月、700年に1度の大洪水となったエルベ、ブルタバ(モルダウ)川の災害は天災ではなく、地球温暖化による異常気象が原因で人災との見方もあります。地球規模の環境問題と捉えて私達に教訓を与えているようです。「プラハの春」音楽祭のオープニングに演奏されるスメタナの『わが祖国』。その第二曲『モルダウ』 […]

理屈っぽくならないように

「昼と夜の混じりて生れし黄昏の心じんわり明日に向かふ」 (白嶺さん2002/08/23) 「昼と夜の混じりて生れし黄昏」は工夫された表現でしょうが、すこし理屈っぽい、と感じられますね。 添削: 「紅(くれなゐ)の日が没しつつ天空の黄金色(わうごんしょく)や また明日が来る」(白嶺)

理屈っぽくならないように

「シャーシャーシャー横隔膜を震わせて明日無き命鳴いて雌呼ぶ」 (詩男さん2002/07/28) クマゼミですね。あの鳴き方は大変に勇ましいです。近くで聞くとさらにそう感じます。数匹が同時に鳴いたりしたら、もううるさくてかないませんね。幼いころ、農村に住んでいたときは、まさに夏を感じさせる鳴き声で、好きでしたね。あぶらゼミやみんみんゼミよりも体がかなり大きく貫禄があり、しかも羽根が透明ですから、尊敬 […]

理屈っぽくならないように

「マンションに雨戸がないから眩しくて年に一度の早起きしたわ」(桐子さん2001/07/10) 「マンションに雨戸がないから眩しくて・・・」という言い方、わざわざ眩しい理由を、つまし理屈を述べていますね。こういう理屈っぽい語の斡旋は避けたいものです。短歌は理屈を述べるものではないからです。 また、雨戸がないのは常時ですから、雨戸がないという理由で、どうして年に一度の早起きをしたのか、と読者は不思議に […]