本歌取りとは?


「かなかなとかなかなかなとかなかなとかなかな蝉はけふを仕舞ひぬ」(がんてつ)

このように纏めて読み返してみましたら、何処かで見たような?読んだような?そこで、
先生!良く耳にする「本歌取り」と「盗作」の違いを教えてください。「本歌取り」が何であるのか、いまひとつ理解できていません。
どうぞ宜しくお願いします。

パソコン不調で添削が遅れました。悪しからず・・・m(_._)m。
個性とか独創性とかにうるさい現代的センスでは、いにしえの「本歌取り」は大概盗作(剽窃)ととられそうですね(その当時は、
一つの作歌法であったわけですが)。今では、いにしえの「本歌取り」の和歌は、歴史的なものとして受け取り、現代的センスでの「盗作、
剽窃」といった判断はしません。あの当時では、(先人の歌をたくさんよく知っているという意味での)教養とか、
作歌力を養うひとつの手段としての意味はあったわけですね。あるいは、お遊びを主とする歌会では、著名な歌の「本歌取り」は許され、
逆に推奨されもしましょう。ですから、自作を提示する場にも関係しますね。
特徴的な表現の大部分をそっくり使うとか、 それに似せた語法をまるまる使うとか、使う言葉は違っても、
本歌を歌たらしめている表現方法、語法、思想、 詠いぶりなどをそっくり利用しても、(本歌を)真似た歌だ、と言われそうです。逆に、
まったく同じ言葉(句)を部分的に使っても、 まったく別のことを表現しているような場合は、
そこに創意が感じられる限りにおいて、「本歌取り」 ととられても盗作とはとられないでしょうね。
歌を読む側の受け取り方(読み手の側の個人差)にも依存する、微妙な問題ではあります。 ここでは、
そういうことにあまり捉われることなく、伸び伸びとお詠み下さい。

添削:
「かなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかなかな蝉が日を閉づるかな」(がんてつ)

(区切り方は「かなかなかな かなかなかなかな かなかなかな かなかな蝉が日を閉づるかな」