「や」と「か」の使い分け

「入国に二時間余りの検問所チエコはEU圏にあらずや」(比叡)
ドイツからチエコに入国するとき二時間待たされました。まだ社会主義の改革が充分ではないのかと思いました。結句の「や」「か」の一般的な使い方について教えてください。宜しくお願いします。

「や」、「か」と言いましても色々な用法がありますね。おそらくここではご投稿歌の末尾にあるような用法(疑問、あるいは反語)に限定してのことと判断されます。上の用法では「チエコはEU圏ではないのだろうか?」という疑問というより、「チエコはEU圏ではないのか、いやEU圏(の筈)だ」という反語ですね。「か」も同様な用法がありますね。疑問、ないし反語。だから、どちらを使うべきかよく迷う、と言われるのでしょう。一つの違いは「や」は動詞や助動詞の終止形に付きます。ですから、上の用法は(「あらず」は終止形なので)正しいですね。一方、「か」は連体形に付きますね。だから「あらずか」はまずいということになります。「あらざるか」ならいいですね。但し、上の場合は字余りとなります(気にしなければいいですが)。こうした付き方の違いの他に、語としてのひびきが違いますね。「や」に比すれば「か」はちょっときついひびきです。もっとも、一首としての語の流れがありますから、その流れの中でどちらのひびきが妥当か、ということで、一首ごとに判断する必要があります。結論として、上の歌の場合は「や」が妥当ですね。それにしても入国手続きに2時間余もかかっては困ったものですね。旧社会主義の残影の影響もあるのでしょうが、テロ対策としての検問強化の影響もあるのかもしれませんね。
添削:
「二時間余も入国手続きに消耗すチエコはEU圏にあらずや」(比叡)