動作の完了を表す助動詞「り」

「赤飯を天こ盛りして先祖に供え息子気づかい香をも立てり」(伊那佳)
大雨が降っています。我が家は安心ですが、赴任先の息子が心配になってきました。仏壇に山盛りの赤飯を供え、線香も立てて無事を祈っています。

息子さんの赴任先はどこでしょう?今日は北陸にまだ雨が残っているようですが。。。ご心配でしょうね。他の地域は天気は回復に向かっているようですね。こちらも今、日が照っています。ともかく、赤飯をおてんこ盛りにしてのお祈りは必ず通じましょう。お作で「立てり」という語法は存在しませんので。「り」は動作の完了を表す助動詞ですが、四段活用動詞の已然形にか、サ変動詞の未然形にしかつきません。(例:「鳴けり」、「せり」)口語の「(何かを)立てる」(他動詞)は文語では「立つ」で(終止形)、下二段活用の動詞です(変化は、<立て(ず)、立て(て)、立つ、立つ(時)、立て(ば)、立て(よ)>)。「り」はつきません。ただし、口語の「(自ら)立つ」(自動詞)も文語で「立つ」で、これは四段活用の動詞ですので(変化は<立た(ず)、立ち(て)、立つ、立つ(時)、立て(ば)、立て>)、その已然形「立て」に「り」がついて「立てり」となりますね。この歌では「香を立てる」わけですから、目的語「香」があり、「立てる」は他動詞なのです。(ちょっと紛らわしいから、よく読んで下さい。)
改作(旧仮名):

「息(そく)を案じ大盛り赤飯仏壇に供へ線香立てて祈りぬ」(伊那佳)