安易に流れないように

「花も無く一面緑の寺庭に水琴窟の音だけ響く」(紗柚2006/07/09)
最近時間を見つけてよく京都のお寺めぐりをします。京都生まれなのにあまりにも行ったことのないところが多く自分でもあきれています。主に季節の花を見るのが目的なのですが先日訪れたお寺には花は咲いていませんでした。先月初めまでは皐月が見ごろだったようですが今は緑オンリーです。苔、青楓,竹薮。少しずつ濃さの違う緑が雨上がりにしっとりとしてきれいでした。水琴窟の音が印象的でした。花が咲き乱れていたらこれほどまでに水琴窟の音が心に響かなかったかも知れません。

たとえ宗教心はなくても、お寺や神社に佇みますと、おのずから心が洗われる思いがするものですね。それは信心の萌芽なのかもしれませんが、われわれの場合はその場から離れて娑婆に戻りますと元の木阿弥・・・。お作ほとんどいいのですが、結句「音だけ響く」がやや安易に流れていて惜しいです。

添削:
「花消えて緑あふるる寺庭に水琴窟の音の涼しさ」(紗柚)