添え書きはなるべく簡潔を旨としたい


添え書きはなるべく簡潔を旨としたいですね。短歌というものは、短歌だけで、しかも本来一首一首で成り立つものです。歌が詠まれた経緯とか、背後にある作者の個人的な事情とは無関係に、歌の鑑賞者(読者)は自分の個人的な精神世界の中で作品を鑑賞する。これが原則です。(もちろん、場合に応じて、最小限の説明が必要なこともありますが。)ですから、しばしば歌の作者の意図とは全く違うものとして鑑賞されます。作者は読者の理解・鑑賞に枠をはめたりするものではありません。それは強制になるからです。(歌が詠まれた事情とか作者の個人的背景は、鑑賞者にとって作歌者が身近な人であったり、作歌者が有名人のときは穿鑿されたりもしましょうが。

「岡田山に咲く花見れば遠き日にこの花を見し人の思ほゆ」(大仙さん2003/04/06

 この歌の場合、短歌として十分成立しています。詠まれていない部分(作者大仙さん自身として詠みきれていない部分)は、それを読む側の想像、連想に任せればいいわけです。そうでなければ、歌を鑑賞する側の自由意思が狭められてしまいますから。