色々な試みはあっていい

え?短歌に英語を使うの?英語の先生nanamiさんの興味深い質問です

先週沙羅樹(夏椿)の花を見に生きました。釈迦の最期をみとったとされる
1日しか咲かない落下花です。桜以外は「?の花」をつけなくてはならないと聞いたのですがどうなんでしょう。

「沙羅双樹白い花びら震わせてその日限りの命さしだす」 (nanamiさん 2001年7月15日)

申し遅れました。わたくし、30代の女性で中学で英語を教えています。
英語だけ、または英語混じりの短歌にも興味があるのですが、そんなのもありでしょうか。

沙羅双樹はおっしゃる通りお釈迦様の最期を思わせます。「平家物語」の巻頭にも出てきて、その短命が「盛者必衰の理(コトワリ)」の象徴に使われていることは余りにも有名ですね。
「花」を付けるかどうかは、詠み方次第です。「和歌」の時代はそうした約束事もあったでしょうが、「短歌」の現代、「花」と付けることでその印象が一層引き立つのならそうするわけです。字数の制約も考えねばなりませんね。
現代短歌には、約束事は何もないと考えていいです。短詩であるという基本と、5?7?5?7?7という定型としての韻律を活かして、自分が得た感動をいかに詠うか、いかに読者に伝えるか、だけだと言ってもいいでしょう。だから、誰でも気軽に自由に作歌できる次第にて。英語混じりもまた結構ですね。(ははははは。俳句は「HAIKU」と、短歌は「TANKA」と綴り、英訳されてもいるし、英語で作られてもいる。短歌の場合、5?7?5?7?7にこだわるわけにはゆかず、それに似せた短英詩ですが。短歌の中に英語を入れるときはこの韻律を守ることが前提になります。)挑戦してみて下さい。

この歌は、沙羅双樹の花は勿論、この美しい名前に感動している趣ですね。それならば、そのように詠みたいところ。動機からはもっと深みも添えられそうです。

改作
「沙羅双樹のま白き花が日に震へ釈迦涅槃図を吾は思ひゐき」(nanami)

ありがとうございます。わたくし、中学で英語を教えているのです。
英語はリズムがいいので歌にのるなぁって前から思っていました。
語数はカタカナになおしたときですか。それともシラブル数ですか。

たとえば、テキーラサンライズというカクテルを詠んだ歌ですが

「熱い息砂漠の風をテキーラにとかして冷えたバーで飲むsunrise」 (nanamiさん2001年7月23日

という歌の場合、sunriseは英語では2シラブル(音)なんですけど、
2語とカウントしていいのかなぁって。

 
短歌は31字と言いますが、これは正確ではなく、5?7?5?7?7はあくまでも音(おん)の数です。31シラブル(音-おん)と言います。
すると、あなたのシラブルの数え方と違う。あなたのはむしろ音節ですね。sunriseは、発音すると「サンライズ」で、「サン」は縮めて発音して、1音と耳で聞くことができても(普通は2音)、「ライズ」は3音になる。2音分の字余りとなり、短歌としてはしっくり来ません。
 短歌に英語を入れるときは、音(おん;シラブル)で定型を守りたいですね。これは日本語の韻律ですから、その良さを守りたいということです。

添削・改作
「テキーラに砂漠の風を溶かし込み涼しいバーで飲むsunrise」(nanami)

これなら短歌固有の定型に嵌っていますね。(ここではsunriseは5音になっています。)

すみません。短歌例と質問の仕方の両方が悪かったようです。
私の言うシラブルは English Syllable のことで、子音はかぞえません。
日本語のシラブルは、モーラ(拍:Japanese Mora)の事だと思っていました。

だからカタカナになる単語は日本語風に母音をにつけて「サンライズ」で5音がすっきりしますが、

「happen to talk to 他の誰でもないあなたその時でさえ選んでしまった」(nanamiさん2001年7月24日)

英文部分は「たまたま話しかける」で[ハ プn トゥ トーk トゥ]
と5 Syllablesとカウントできるのかどうかお尋ねしたかったのです。
これを日本語風に発音すると「は っ ぷ ん とぅ う と お く とぅ う」
と11音になり、言語の持つリズムもなくなるような気がします。

なるほど。英語発音に慣れた者なら、言われるように English Syllableでいけそうですね。確かにこれを日本語式に発音しては、英語のリズムが崩れてしまう。
つまり、英語流発音をそのまま短歌に持ち込んでいいかどうか、ということですね。
日本語の短歌の律調と英語流リズムを違和感なく融合させようという、意欲的な試みはあっていいですね。(短歌センスでの字余りは許すとして。)

だから日本語として発音できない句や節、文は短歌になれないかをお聞きしたかったのです。
ややこしくて申し訳ありません。
外国人に短歌の話をすると必ず問題になってくることで、前から聞きたかったのです。

上ですでに答えていますが、また前にも言いましたが、現代短歌には基本的に何の約束事もありません。色々な試みはあっていいし、むしろ新しい短歌の誕生が待たれている面もあります。「日本語として発音できない句や節、文は短歌に使えないか」どうかではなく、試みにやってみて、それでうまくゆけば新しいタイプの短歌への道が開けるし、要は試みが新鮮さを含み、それが万人に受け入れられるかどうかです。俵万智短歌がいい例です。これは初めから大衆受けを狙ったもので、直ぐに浸透しましたね。
英語が入るとなると、そのあたりにネックがありそうです。短歌と英語の折衷ではなく、英詩として徹底すれば賛同者も現れるとは思います。
勿論、慣れの問題でもあり、新しいリズムがやがて万人の心を打つということは十分あり得ます。頑張って、新しい短詩の世界を切り拓いてください。意欲的な姿勢がいいですよ。

添削
「その時さえ他の誰よりも選んだの、あなた、あなたよ! happen to talk to」

これなら、どうにかリズムがありますね。この happen to talk to は英語流発音してもらわないとだめです。

nanamiさんのハイカラ・センス、いいですねぇ。若々しく瑞々しい。

英語がお得意のnanamiさん。この後も色々挑戦なさいます。

こんなんどうでしょ。
「Yes, I drank a lot. I wanna know you more and more 酔っぱらわないと聞けないセリフ」(nanamiさん
2002年5月16日

添え書きからして軽快ですね。 (^o^)

これは短歌ではなくTANNKAですね。いや、KYOUKA かも。二行目も添え書きと一緒にして、

「こんなんどうでしょ、酔っぱらわないと聞けないセリフ」

とすれば、(ちょっと抑揚をつけて読めば)短歌にはまります。ハハハ。ちょっとした文まで短歌の韻律をもつという、短歌にはまっておられる何よりの証拠ですね。うれしい限りです。

上のTANNKAですが、白人さんにこんなセリフを言われたことがありそうですね。で、添削者としては何もいうことはありません。

Yes, I drank a lot. I wanna know you more and more
これってカタカナ書きにするとどうなるのかしら?この英文のリズムを知りたい!(イエス アイ ドランク ア ロット・・・・とたどたどしくしか読めない私です)
と質問したら

また、ゆう子さん難しいことを。

英語の学習では、チャンツと言って手をたたきながらリズムに乗せる練習をします。それをやらせていただければわかりやすいんですけど。

1Yes 2I 3Drank
1*a 2Lot 3I wanna 4Know 5You
1More 2And 3More

同じ調子で手をたたきながら大文字のところを強く読んでください。(aはアフタービートで手をたたいた後で。I wanna のところは速く読んでね)
ってわかるかなぁ、、、

って・・・・。
教科書を読み書きするだけの英語しか知らない私達世代には理解し難い生きた英語ですね。でも なんだかこのリズム5、7、5、・・・の短歌のリズムに似たものがあるような・・・。英訳した短歌ではなく、日本の短歌の音のリズムを背景にした英詩・・・いえ、これは混血かな?国境のない短歌!素適ですね。
この二人のやりとりから私も海外旅行の時の短歌などに英語を取り入れてみました。但し英語があまり得意でない私は音(おん;シラブル)で定型を守るやりかたです。