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七月の短歌

     七月一日
「ビル街こそ豪雨の底なるひとびとの竜宮城にてあらまほしけれ」


「地を割りて出で来んものの輝きと白雨となりてくだる天啓と」




     七月二日
「梅雨最中なれどブラインドの隙間よりアクアブルーの空がのぞくよ」


「真向かひのビルに西日が当たる個所当たらぬ個所あるは何かに似てゐて」


〈第一首で、「最中」は「もなか」。折から、今日は半夏生。〉        

        七月四日
「雨の夜は自動車(くるま)の中をCDのピアノソナタで飾りてぞ行く」


〈これは昨夜のことを詠ったものです〉




     七月六日
「妻忙し〈あじさい祭〉のアジサイをプリントアウトし家中に飾る」


「アジサイの無数の華の中に置き確かに妻を撮りたれど どこ?」


「アガパンサス、紫陽花、百合などくさぐさの花を賞(め)でつつ頭脳冷えたり」

      
      七月七日
「七夕とふ語に籠めらるる子らの夢くさぐさにして大人の打算」


「しとどに降る雨の粒粒見ゆるまでわが心眼を研ぎ澄まさむとす」


「森の思想得て文明を批判せる宮沢賢治の童話を愛す」


「人間の智恵の累積たる文明 はや爛熟の気配あやふき」



「さめざめとくだる雨なりその下で大人の小児が悪戯してゐる」





       七月九日
「雲の間に逆巻く霧が闇となり光となりて山嶺おほふ」


「アルタイルつひにベガには逢はざるや天を塞げるガスと雨雲」


「自閉といふ医学用語と社会語の混同ありて君を悩ます」

        七月十一日

「高速道くぐれば向かひに朧月 このまま月へ旅立たんかも」


「いささ酒に酩酊にある我なるや雨の奥処(おくど)に赤子泣く聞く」


「殺人の心理を今宵思ひゐてだうにも理解のゆかずめろめろ」


「竜巻に吸はれて雲の上にまで人を哀しみ飛んで見せばや」


「万を超す人を易々殺戮せしブッシュを今宵しきりにあはれむ」

             七月十二日
「路地裏の塀より伸ぶる幾茎の桔梗は濃紫(のうし)に心を咲(ひら)く」


「孤りゐる部屋は冷房の微音のみ いま遠街にサイレンが鳴る」




     七月十三日
「躍る雨幾重にも見え風激し心静かに物思ふ午後」


「生きて死ぬ死ねば見えざる身のあはれ孔子釈尊キリストの闇」


「雨しまく宇宙の果に何かある。観むと五体を錐となしつつ」


「ニーチェ言ふ『神は死んだ』と。その前に人の世界が潰えむものを」


「梅雨寒は人の世界があんまりに哀しいからと天が泣くのさ」

     七月十六日
「池の鴨七羽のうちの六羽まで一羽責めをり 人の真似止(よ)せ」


「夫婦(めをと)して繭を紡がむ 日本と言ひ世界と言へど所詮人の世」


「七月の宙返りして白き鳩 そのまま胸乳に吸ひ込まれたり」



     七月十八日
「池の端(はた)親鳥二羽に遅れまいと子鴨らちょこちょこ従(つ)きゆく愛(かな)し」


「幼さがかくも可愛い故は知らぬ子鴨数羽がよちよちありく」


「騒ぎゐる七羽の鴨には交はらず親子の鴨が縒(よ)れながら行く」

        七月二十日
「慈雨含み雑草(あらくさ)繁る河土手に黒糸蜻蛉(くろいととんぼ)が群なし遊ぶ」


「暗雲に圧(お)し拉(ひし)がるる木曽川の鉄橋を重く貨車が行く音」


「梅雨明けず水位高まるおほ河は渦巻き解(ほぐ)ししづかにくだる」


「水際に胴長きボート繋がれゐて逝かせて呉れよとロープ頻(しき)引く」

「田園は緑緑(あをあを)とまた瑞瑞(みづみづ)と稲育ちつつ 世は事もなし」


「わが脇にノートパソコン覗き込む妻の意図せぬ表情変化(へんげ)」
       

 

 
           七月二十三日
「雨上がり不思議の態(てい)にきらきらと東照宮あり三河鳳来山」


「雨霧の気流吸ひ込む肺の腑に鈍き音たて雲せめぎあふ」


「九州に豪雨となりて落ちしあとなほも霽れざる 梅雨錆び付きて」 
  七月二十八日
「ブッポーソー 啼くを聞かむと訪ね来し鳳來山に山鳩とよむ」


「仏法僧 ブッポーソーとは啼かずして山にしづかに一生(ひとよ)を過ごす」


「ブッポーソーと啼く主尋ね山に入りこのはづくとふを知りし人あり」


「鳳來山展望台より見晴るかす本宮山頂は電波中継地」


「声と画像はるかに乗せて蠕動(ぜんどう)せる電波よさらに<愛>を伝へよ」


「迷ひ入る細き林道上りまた下る間に間に棚田ひしめく」


「か細かる林道を五十分いちにんに遭ひしのみにて肝の冷えたり」

   「織物の街が不況に喘ぎ継ぐせめて華やかに七夕まつり」


「わが妻の浴衣姿に惚れ直す七夕垂(しで)のかがやきの下
 



 

      七月二十九日
「雨の矢を止めむとひたすら念ずなどこの頃むなしきことに過ぎゆく」


「繊月(みかづき)を掬ふと水の面(も)を乱すなど今宵も由なき些事にこだはる」

    

        七月三十日
「梅雨の雲抉(こ)じ開けのぞく夕空の紺の深みに金魚泳げり」


「ひとしきり落ちし雨去り緞帳を引き上げしごと満天の星」


「梅雨明けをことほぐやうに満天に星かがやけど月なきが寂し」


「梅雨明けと戻り梅雨とが交錯し気象庁など当てにしてはをれぬ」

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「フセインは息子二人の死亡をば殉教といふ。気持は解るが・・」


「ゲリラとなり米軍襲ふはフセインら一派の最期の足掻きか否か」


「今世界で一番危険な国はどこ?圧倒的にアメリカと答ふ」

     

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