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五月の短歌

     五月十一日

「休日の職場はパソコンだけ相手 対峙してゐて捕虜となりゆく」

「帰省せし妻に水遣り頼まれしが花に過ぎたる雨今日も降る」

「麗桜(れいおう)はリーインと呼ぶ孫にして日中の狭間でいづれは揺れむ」

【最近生まれた孫の父親は中国人。孫(麗桜)は日本では「れいおう」、中国では「リーイン」。】

     

    五月十五日

大分にて:
「妻と来て白水鉱泉味はへば炭酸きつく舌を刺激す」

【白水鉱泉:大分県庄内町に湧く鉱泉】
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その後・・・
「階段を上るに勝り下るときどっしり重し地球といふ物」

【注:自らの体重が足にのしかかるのは階段を上るときより下るとき。万有引力の法則で、同じ力で、地球がこの身を引き付け、またこの身が地球を引き付ける。これを余計に感じるのは下るとき。】

「橋の下するどき眼(まなこ)に鯉狙ふ青鷺チラとわれを見しのみ」           

五月十七日

大分からの帰路。【これまで何度も行き来した航路なのに、今回初めて関空の全容を上空から雲間に見た。それを記念?して一首。】

「わが機いまいづこを飛ぶかと小窓より見れば地上に〈かんさい〉の文字」

【関空の施設の平らな屋上?に、白い文字で大きく〈かんさい〉と書いてあります。名古屋空港に近づくにつれ飛行機は高度を徐々に下げており、上空3、4千メートルからもはっきりと読めました。上空から読めるように書いてあるから当たり前ですが。】

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「身障の人はその身のハンディを他人(ひと)の同情ほどには厭はず」

「身障に悩める人よりこんにちは心障害者の多かるものを」

【「こんにちは」は今現在では、の意味。心障害者は、通常のそれ以外に、問題の解決に直ぐに刃物・銃・爆弾など暴力に訴える人々も含む】

「障害や差別が話題になるたびにBBSが沸き立つ をかし」

【「をかし」は、ここではおかしい、というより興味深い、あるいは良き趣がある、の意味。】    

   五月十八日

「闇深く雲走るらし朧月さらにおぼろに見え隠れせる」

「正面におきて走れば満月は居並ぶ家屋へつぎつぎと落つ」

     五月二十一日

「タンポポの冠毛幾多池岸にならびて未来を求め崩(く)えゆく」

「みどり児の頭支へて両腕におずおずと抱きうれしかりけり」

「世に出でてほんの三週間生きて来しされど赤子の眸(め)に真理(みち)やどる」

「次世代の次の世代が生まれ継ぎ気付けば人生瀬戸際に在る」

吾が過去生は・・・
「要するに時間の波動が濃く淡く襲ふゆゑただ突き進み来し」

    五月二十七日

「吾の思惟に幾多の意思がからみ付きねっとりとして時間は流る」

「狭庭辺を領してひらくアマリリスよ わが家にかほどの激情ありとは」

「湾曲せる松浦(まつら)の浜に暗く沿ふ長大悠然たる松の原なり」

「新しい唐津のぐい呑み手に入れて古唐津すこし解かった気でいる」
【新仮名】

「かろやかな弦の響きにまつわり付くねっとりとした時間の流れ」
【新仮名】

 五月二十九日

「体調のすぐれぬ妻に聴かせけりかの〈亡き王女のためのパバーヌ〉」

「妻のためかくる癒しの音楽にいつしかわれが癒されてをり」

「〈ダフニスとクローエ〉まさに天界より泌み出(い)でそのまま部屋に満ちたり」

「ふか闇にラヴェルの音楽みちわたり確かに宇宙の果を視てゐき」

「君とかく夫婦(めをと)をするは必然の奇跡なるらむ 南無大宇宙」

五月二十八日

「雪柳一樹遅れて咲きたるが朝(あした)異様に匂ふ部屋まで」

「不満なり。御在所岳(ございしょ)、伊吹山(いぶき)、御嶽山(おんたけ)が晩春の靄に今日も隠れて」

我が子等の現況報告?:
「経済出の長(をさ)の子変じてSEなり不況に無縁、多忙なりとぞ」

【SE=システム・エンジニア】

「片隅にいつも潜んでをりし次男いま溌剌と営業こなす」

「郵政が公社化されて一段と忙しさうな吾娘(むすめ)の職場」

 

    五月三十一日

「うづくまる子猫をとっさに避け得しが明日は平らなただの物体」
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「汝(な)が永久(とは)の住処(すみか)はいづこと自問して明解に答ふこれの時空と」
【「これの」は「この」の強意】

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